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AI時代の落とし穴「デスキリング」 ~ “考える力”を守る方法

こんにちは。株式会社ICUの川島です。

前回のブログでは、「リスキリング」をテーマにお話しました。
今日のテーマは「デスキリングです。

生成AIが普及して、文章のたたき台づくりや、資料のまとめ・整理がずいぶん楽になりましたね。
ゼロから作る負担が軽くなったぶん、仕事のスピードも上がりやすくなりました。

ただ、便利になったぶんだけ、別のリスクも生まれています。
それがデスキリング(技能喪失です。

これは「スキルが不要になる」という話ではありません。
技術に頼りすぎた結果、人間側の力が少しずつ落ちていく――そんな現象を指します。

50年前の工場で起きたデスキリングが、いま頭の中で起きている

少し歴史の話をします。50年くらい前をイメージしてみてください。

昔の工場では、職人さんが「どう作るか」を考え、「実際に作る」まで一人で担っていました。
目で見て、手で触れて、音で違和感に気づく。言葉にしづらい暗黙知が、現場に積み上がっていた時代です。

ところが、効率を上げるために仕事が細かく分けられ、手順が決められ、マニュアル化が進みました。
設計者が「どう作るか」を設計し、現場は「決められた通りに動く」役割へ。
結果として工場の生産性は上がった一方、個人の技能や判断力が奪われていきました

これが古典的なデスキリングです。

そして今、似た構図が、生成AIによって“知的作業”の領域でも起きやすくなっています。
体の技能ではなく、考える力・組み立てる力・判断する力が奪われつつありますここがAI時代の特徴です。

AI時代のデスキリングは「答えが出る速さ」と引き換えに進む

生成AIは便利です。文章も企画も、資料も、一定レベルのアウトプットがすぐ出ます。
でも、ここに落とし穴があります。

AIが答えを出してくれるほど、人は「答えに至るまでの道」を歩かなくなります。
言い換えると、思考のプロセスがショートカットされるんですね。

たとえば、こんな変化が起きやすいです。
・文章:整った文が出るぶん、自分の言葉で組み立てる筋力が落ちる
・企画:それっぽい案が出るぶん、現場の前提整理や“芯”を作る時間が減る
・IT:動くコードが出るぶん、全体構造を理解する機会が減る
・営業:提案の骨格を自分で作らないまま、それっぽい資料が出来てしまう

特に怖いのは、短期的には「成果物ができてしまう」ことです。
だから気づきにくい。気づいたときには、いざという場面で踏ん張りが効かなくなる。

医療などの専門領域では、AIによる病気の判定支援に慣れてしまった人は、AIを使わないときに診断精度が落ちる可能性を示す研究もあるようです。

この問題は、私たちの仕事の現場でも同じことが十分に起こり得ます。

デスキリングを防ぐコツは、AIに“丸投げ”しないこと

では、どうすればいいか。私は対策はシンプルだと思っています。
AIに丸投げしないことこれに尽きます。

ポイントは3つあります。

まず大事なのは、AIに聞く前に「自分の仮説」を一度置くことです。
10秒でもいいんです。「自分ならこう考える」「原因はここかもしれない」「この順で整理したい」
この“仮説の置き方”があるだけで、AIの答えを鵜呑みにせず、比較しながら使えるようになります。
文章制作でも、提案書でも、最初の一行に自分の意見がある人は、AIを使っても芯がブレません。

次に大事なのは、AIの答えを検証する癖です。
AIは、もっともらしい間違いを混ぜます。数字、制度、法律、固有名詞、言い回し。
ここを「確認する人」になるだけで、仕事の信頼性が一段上がります。
会社として考えるなら、これは品質管理そのものです。最終判断を人が持つ。
ここは手放さないほうが良いでしょう。

そして最後に、“AIなし時間”を作ることです。
筋トレと同じで、補助が優秀すぎると、自分の筋肉を使わなくなる。
自分の思考力をしっかり使って文章を書いてみたり、マインドマップを書いてみるなど論理的思考力を鍛える時間をとるのも良いですね。
このような小さな負荷が、思考体力の維持につながります。

AIを使わないことが目的ではありません。
AIを使いながら、自分の頭も育てる。この設計ができると、デスキリングは避けられます。

AIは“代わりに考える人”ではなく、“一緒に強くなる道具”

AIは便利です。だからこそ、使い方次第で差がつきます。
依存してしまうと、考える力が削られる。
一方で、仮説を持ち、検証し、あえて自分で考える時間も残せる人は、AIを使って加速度的に強くなれます

技術が「人の能力を拡張する道具」になるのか、
それとも「判断プロセスを省略してしまう道具」になるのか。
分かれ道は、日々の使い方の中にあります。

便利さに飲まれず、使いこなす側へ。
一緒に、頭を鍛えていきましょう。