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「選択と集中」が中小企業を救う~多角化リスクへの現場的考察

こんにちは。高知県高知市で「営業」に圧倒的に強いホームページ制作を行っている、株式会社ICUの川島です。本日は経営の多角化をテーマにお伝えします。

中小企業では、好調時と不安時にこそ判断を誤りやすい

中小企業では、経営がうまくいっている時や将来に不安を感じた時に、判断を誤りやすい傾向があります。
私はこれまで多くの中小企業と関わってきましたが、売上が順調なときに「今こそ第二・第三の柱を」と多角化に踏み切るケースや、将来への懸念から「新たな収益源を作らなければ」と焦って事業を広げるケースを、数多く見てきました。
いずれにおいても、残念ながらうまくいかない例が少なくないのが現実です。


「新たな事業を立ち上げることで売上の柱を増やし、経営リスクを分散したい」――その考え方自体は自然ですし、決して誤りではありません。ただ、現場で数々の事例を見てきた私の実感としては、「多角化がうまくいっている企業」はむしろ少数派であると感じています。

多角化が招く3つの落とし穴

中小企業にとっての多角化は、大企業に比べてはるかにリスクが高いものです。なぜなら、次のような「落とし穴」が待ち受けているからです。

  1. 経営資源の分散
    人材・設備・資金といった限られたリソースが複数事業に分散されることで、それぞれの事業が中途半端になりがちです。

  2. 専門性の喪失
    本来持っていた独自の強みが薄れ、「この会社は何が得意なのか」が見えにくくなります。

  3. 経営者のキャパシティ超過
    オーナー経営が多い中小企業では、すべてを自ら見ようとして疲弊し、最終的には意思決定の質が落ちてしまうこともあります。


たとえば、ある飲食店では、イートインに加えてテイクアウトやデリバリーといった業態拡張を行い、一定の成功を収めていました。これらは厨房設備やスタッフといった経営資源を共有できるため、比較的リスクの低い展開といえるでしょう。

しかし、その後さらに事業を広げ、冷凍食品の通販、キッチンカーの運営、さらには飲食とは無関係のヨガ教室の開設にまで着手しました。その結果、各事業に求められるオペレーションやマーケティング戦略がバラバラになり、スタッフの負担が急増。最終的には本業である店舗運営の質が低下してしまったのです。

「選択と集中」が生む、専門性という武器

では、どうすればよいのでしょうか? その答えは、「選択と集中」という原点に立ち返ることです。

自社が最も勝てる領域を見極め、そこに経営資源を集中的に投下することで、次のような好循環が生まれます。

  • オペレーションの精度が高まり、サービス品質が向上する
  • 顧客から「この分野に強い会社」として認知されやすくなる
  • 人材や資金を効率的に活用でき、結果として利益率が向上する

「選択と集中」は守りの姿勢ではなく、”勝ち筋を最大化する”攻めの戦略なのです。

自社の“勝ち筋”を見つける3つの視点

とはいえ、「どこに集中すれば良いか分からない」という悩みもよく耳にします。そんな時は、以下の3つの視点で自社を見つめ直してみてください。

  1. 顧客の声
    どの商品・サービスがよくリピートされ、感謝の声を多くいただいているか?

  2. 利益構造
    粗利率が高く、再現性のあるビジネスはどれか?
    売上ではなく、利益ベースで見ることが重要です。

  3. 競合との差別化
    その事業は、他社と比べてどんな点で優れているのか?
    自社ならではの強みはどこにあるのか?

これらを整理することで、自社が本当に注力すべき「選択領域」が自然と見えてくるはずです。

未来を広げるのは、”今の集中”から

経営とは、選択の連続です。特に中小企業においては、「やらないことを決める勇気」が、未来を大きく左右します。

多角化は夢を広げる手段ではありますが、その夢を実現するためには、まず今ある強みを磨き上げることが先決です。

”一点突破、全面展開”――まずは一つの分野で突き抜けること。それこそが、持続的な成長を実現する道であり、真にリスクを抑えるための最良の方法だと、私は考えています。

自社の得意分野をしっかり磨き、未来を切り拓いて行きましょう。